不動産売却にかかる費用とその節約方法について

不動産売却

どうもRSです!

皆さんは不動産を売却する際にどのような費用がかかるかご存知でしょうか?

意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、不動産を売却する際にも諸費用がかかります。

本格的に売却活動を始める前に、あらかじめどの程度費用がかかるのか、また費用を節約するにはどのような方法があるのかを把握しておきましょう。

不動産購入時とは違い、売却代金から支払いができる費用も一部ありますが、お手持ちの現金で支払いが必要となるものもあります。

最低限の現金が準備できないと不動産売却に支障となる可能性がありますので、十分な注意が必要です。

今回の記事を読んでいただければ、費用面での準備は整いますので、あんしんして不動産売却活動に移行できると思います!

今回の記事はこんな方におすすめの記事です。

  • 不動産売却を進める前にどのような費用が発生するのかを知りたい
  • 不動産売却にかかる費用について、金額を抑える方法があれば教えて欲しい

それでは、どのような費用が・いつ・いくら程度必要となるのか、不動産売却の流れに沿って解説していきたいと思います!

不動産の売却活動を開始する時に発生する費用

①確定測量費用

 支払いの方法:現金持ち出し

 費用の目安:50〜80万円

 支払先(依頼先):土地家屋調査士

まず初めに発生する費用は、ご自宅の敷地(土地)の確定測量費用です。

不動産を売却する際、原則としてご自宅の敷地の境界を買主に明示する必要があります。これを「境界明示」義務といいます。一般的な契約書の条文には境界明示義務は売主が負うことが明記されています。この境界明示義務を果たすためには、敷地の境界がきちんと確定していなければなりません。そのために行う敷地の測量のことを、「確定測量」といいます。

建物が築浅で購入してからあまり期間を経ないで売却する場合は、隣接地との境界に「境界標」という境界の目印がきちんと設置されており問題はないと思いますが、親の代からお住まいになっていたりするような古い建物ですと上記の境界標が確認できない状況にあることがあります。

ちなみに、境界標の種類は様々あり、コンクリート杭・金属プレート・鋲などが一般的です。

境界標が確認できない場合は新たに境界標を設置する必要がありますが、当然ながら一般の素人が勝手に設置することはできません。勝手に設置する行為は法律に違反する行為ですので絶対にしてはいけません。

境界標を再設置してもらう作業、復元については、国家資格を持った「土地家屋調査士」の方に依頼をしましょう。なお、不動産会社に売却を依頼している場合は、不動産会社から土地家屋調査士を紹介してもらえると思います。

境界標を設置する場合は、隣接地の所有者の方に境界の立ち合いをお願いすることとなります。境界の立ち合いの軒数が多ければ多いほど、測量費用は高額となります。(目安の金額に幅があるのはその為です)

立ち合いは原則として隣接地所有者ご本人、またはご本人から委任された方に現地に来ていただく必要があります。立ち合いをお願いしたい方が遠方にお住まいの方であったり、多忙でスケジュールが確保できなかったり、連絡がなかなか取れないケースもあり、測量を完了させるまでに想定以上の時間がかかる場合がありますので、余裕を持ったスケジュールで測量を依頼することが大事です。

測量費用を節約する方法は2つあります。

一つ目は、売却を依頼する不動産会社から紹介された土地家屋調査士への値引き交渉です。

不動産会社は土地家屋調査士に測量の依頼を日常茶飯事に行っておりますので、不動産会社と土地家屋調査士との間で人間関係がしっかりと構築されているケースが多々あります。その場合、不動産会社経由で交渉してもらうと多少の値引きには応じてもらえる場合があります。

ただし、そもそも他では出ないようなお得意様価格で提案をしてもらっている場合もありますので、あまり期待しない方が良いでしょう。

二つ目は、境界明示義務を負わない「境界非明示」の取引にする方法です。

別の記事にも記載いたしましたが、個人間の取引において特約の内容についてはある程度自由に条件を決めることができます。

境界明示義務についても例外はなく、当事者が合意すれば境界明示義務を負わない、「境界非明示」に変える事もできます。境界非明示であれば、境界標が確認できなくても境界を設置する義務は生じませんので、その分測量費用が節約できます。

ただしデメリットもあります。それは取引自体が成立しにくくなる可能性があるという点です。

売主が境界の明示をしないことに対して、何か理由があるのではないかと買主が疑念を持つ場合があり、取引の成立自体に悪い影響が出る場合がありますのでその点は十分注意が必要です。

測量費用はまとまった金額の持ち出しとなるので、結構な出費です。どうしても費用負担が難しい場合は、確定測量を契約が成立した後に行うというのも手です。契約成立後であれば、売買代金から測量費用を工面することもできます。

ただし、契約後に確定測量に着手する場合は、確定測量が予定期日を過ぎても完了しないときは白紙解約となる旨の条件が付く事になります。測量が予定通り進まなかった場合、せっかく成立した契約が流れてしまうことになりますので、その点は頭に入れておくべきでしょう。

契約時に発生する費用

②印紙代

 支払い方法:現金持ち出し(最寄りの郵便局で購入) 

 費用の目安:売買価格による規定の印紙代を負担する。概ね1万円〜6万円程度

次は契約時に発生する費用、印紙代です。負担する金額は売買代金に応じて異なります。詳細は下記国税庁のHPをご参照いただきたいのですが、主に取引される価格帯に応じた印紙代を記載すると以下の通りとなります。なお、平成26年4月1から令和9年3月31日までに作成された不動産売買契約書については、軽減措置の対象となりますので、一番右側の欄「軽減税率」に記載の金額が適用となります。

契約金額本即税率軽減税率
500万円を超え
1000万円以下のもの
1万円5千円
1000万円を超え
5000万円以下のもの
2万円1万円
5000万円を超え
1億円以下のもの
6万円3万円
1億円を超え
5億円以下のもの
10万円6万円

◾️国税庁H P:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

印紙の準備の方法ですが、最寄りの郵便局または、法務局の印紙売り場で購入が可能です。

なお、実務では契約の当日、不動産会社が現物を準備をしてくれる事もありますが、その場合、印紙代の領収証が発行されない場合があります。(不動産会社が印紙を販売している訳ではない為)

後日、印紙代を経費として申告する場合は、ご面倒でもご自身で購入した方が良いでしょう。

印紙代を節約する方法としては、契約書の作成通数を1通とする方法があります。

個人間での売買の場合、契約書は2通作成するのが通常です。ただし、買主が不動産業者の場合は、契約書は1通のみ作成し、不動産業者はコピーを所有する場合があります。これは不動産会社が印紙代を節約するために行っている方法で、印紙は原本を所有する売主が負担する事になります。

上記の方法にならえば、印紙代を節約することが可能です。

デメリットとしては手元には契約書の写ししか残りません。ですので後日不動産取引に関して争いが生じた場合、契約書に基づいて対処していく事になりますが、万が一、契約書原本と写しの記載内容が異なっていた時は、契約書原本が優先されてしまいます。

特に仲介業者を入れないで売主・買主が直接取引をするようなケースでは、第三者が契約書の写しを保管することは無いので、買主による契約書原本の改ざんを立証することが困難になる場合があります。少しでも不安を感じる方は、原本2通作成した方が無難です。

③仲介手数料

 支払いの方法:手付金、および残代金から支払い

 費用の目安:(売買価格×3%+6万)×1.1 ※売買価格400万円超、消費税10%の場合

 支払先(依頼先):不動産仲介会社

契約時に発生する費用の2つ目は、仲介手数料です。

仲介手数料は、不動産仲介会社に不動産の売却を依頼した場合、不動産の売買が成立したタイミングで不動産仲介会社に対して発生する手数料になります。

仲介手数料の支払いの時期ですが、一般的には契約時に仲介手数料の一部を支払い、残額は決済時(所有権移転時)に支払うことが多いです。この辺りは、売買契約時に受領する手付金の金額によって変わってきますので売却を依頼する不動産仲介会社と相談する必要があります。

手数料の金額は売却活動開始の際に取り交わした媒介契約書に基づいて請求されます。また、仲介手数料の上限額は宅地建物取引業法によって定められており、特段の取り決めが無い場合、上限額がそのまま請求金額となります。

仲介手数料の上限の計算式は以下の通りです。

不動産売買価格仲介手数料の上限額
計算式①200万円以下売買価格の5%+消費税
計算式②200万円〜400万円以下(売買価格×4%+2万円)+消費税
計算式③400万円超(売買価格×3%+6万円)+消費税

上記が仲介手数料の上限の計算の原則となります。なお、令和6年7月1日以降、低廉な空き家等の売買に関しては、特例で仲介手数料の上限額が変更されております。以下の条件に合致する場合は、仲介手数料の上限が30万円×1.1倍の金額以内まで請求が可能となっております。

  • 売買代金が800万円以下の宅地・建物
  • 使用の状態は問わない

上記の特例の詳細については以下記載の国土交通省のHPをご参照ください。

◾️国土交通省HP:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し

それでは売買価格3,000万円の土地建物の売買を想定した仲介手数料を実際に計算して見たいと思います。

売買価格が400万円を超えていますので、上記の表を参照して計算式③で計算をします。

①仲介手数料(税抜)の計算:売買価格:3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円

②消費税の計算:96万円 × 10% = 9.6万円  ※消費税率10%の場合です。

③仲介手数料(税込)の計算(①と②の合計):96万円 + 9.6万円 = 1,056,000円

以上の結果、売買価格3,000万円の場合の仲介手数料の上限は1,056,000円(税込)となります。

仲介手数料の節約方法は2つ考えられます。

一つ目は不動産仲介会社と仲介手数料の金額について交渉する方法です。

仲介手数料は上限が定められておりますが、下限はありません。極端な話、不動産仲介会社の判断で無料とすることも可能です。

ただし、不動産仲介会社にとって、仲介手数料は収益の源泉ですので特に大手系の不動産仲介会社は特別な事情がなければ、仲介手数料の値引きに応じることは少ないようです。また、デメリットとして、仲介手数料の値引きが発生した場合、その不動産仲介会社が提供するサービスの一部が利用できなくなる可能性がありますので、その点は注意が必要です。

仲介手数料の値引き交渉は、媒介契約を取り交わす前に行う必要があります。媒介契約を締結すると仲介手数料の金額が確定しますので、媒介契約締結後に交渉を行っても応じてくれる可能性は低いです。

媒介契約後に仲介手数料の値引交渉をするとしたら、買い手側から指値の条件がついた買付証明書が交付されたタイミングで行うのが良いでしょう。

物件価格の値引きに応じる代わりに、仲介手数料も減額してくれといった感じです。このタイミングだと不動産仲介会社も契約をまとめたいので、応じてくれる可能性がグッと上がるはずです。

なお、当然ですが買付証明書の指値に応じた場合、売買価格が変わりますので連動して仲介手数料の上限も減額になります。交渉するとしたら、指値後の売買価格から算出した減額後の仲介手数料を基準として交渉してください。そうしないと、仲介手数料の値引き交渉になりませんからねw

二つ目は、そもそも仲介手数料を値引きすることを掲げている不動産仲介会社を選ぶ方法です。

不動産会社によっては仲介手数料半額やそもそも手数料が不要など、その会社を選ぶメリットとして掲げている会社もあります。会社としての規模は大手よりは劣る会社が多いですが、各社が提供するサービス等を十分考慮の上、検討してみてください。

デメリットとしては、仲介手数料のディスカウントを掲げている不動産仲介会社は大手の不動産仲介会社程サービスが充実していない点と、不動産会社によって対応の当たり・ハズレがある点です。

契約後に発生する費用

④引越し代

 支払いの方法:現金持ち出し

 費用の目安:13〜33万円程度 ※4人家族を想定 

 支払先(依頼先):引越し専門業者

契約後に発生する費用の1つ目は、引越し代です。

空き家の処分であれば発生しない場合もありますが、自宅の売却の場合は引渡しのタイミングまでに引越しを完了させる必要があります。

どうしても引渡しの時期までに完了させられない事情がある場合(特に住み替えの場合)は、契約時に引渡しの猶予(所有権の移転が完了した日から、一定期間引渡す時期を猶予すること。通常は1週間程度)を条件につけてもらうよう交渉してください。

引越しの費用の見積もりは一括見積もりサービスが便利です。具体的な費用を見積りたい方は、下記サイトを参考にして見て下さい。

⑤抵当権抹消登記費用

支払いの方法:現金持ち出し

費用の目安:1.5〜2万円程度

支払先(依頼先):司法書士

売却する不動産に銀行等の抵当権が設定されている場合は、原則として所有権移転までに売主の負担で抵当権を抹消する必要があります。その為、抵当権の抹消が完了していない場合は、抵当権抹消登記費用が発生します。なお、抵当権抹消登記の前提として、借入金の全額返済が必要です。

不動産の売却代金を借入金の返済に充当する場合は、事前に抵当権の抹消を行うことはできません。抵当権抹消登記は所有権移転登記と同時に行うこととなります。

抵当権抹消登記費用の節約の方法としては、登記手続きを自分で行う方法があります。

登記手続き自体は、時間的な余裕と必要書類が整っていればそれほど難しい手続きではありません。必要書類の大半は借り入れをした金融機関から発行されます。なお、節約できるといっても登記申請に必要な印紙代や登記内容を確認する為の登記事項証明書等の取得費用はかかります。

具体的な手続きは下記法務局のHPを参照してください。

◾️法務局HP:住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)

ただし、抵当権抹消登記を所有権移転登記と同時に行う場合は手続きを一連の流れで完了させる必要がある為、時間的な余裕がありません。不測の事態に陥ると所有権移転に支障が生じる可能性があるので、その場合は諦めて頂き司法書士に依頼をして下さい。

⑥住所変更登記

支払いの方法:現金持ち出し

費用の目安:1.5〜2万円程度

支払先(依頼先):司法書士

不動産を取得してから引越し等によって登記簿に記載されている住所が現在の住所と異なっている場合は、所有権移転登記までに登記簿上の住所を変更しておく必要があります。その為、登記簿上の住所が旧住所の場合は、住所変更登記費用が発生します。

住所変更登記費用の節約の方法としては、登記手続きを自分で行う方法があります。

こちらも抵当権抹消登記と同様、時間的な余裕があれば自分で登記手続きを行うことが可能です。なお、こちらの登記手続きについても印紙代、住民票および、登記事項証明書等の取得費用は発生します。

具体的な手続きは下記法務局のHPを参照してください。

◾️法務局HP:登記されている住所・氏名に変更があった方へ(住所変更登記・氏名変更登記の申請手続のご案内)

なお、住所の移転が複数回行われている場合は、別途戸籍の附票等の取得が必要となり旧住所の役所から取り寄せるといった手間がかかる場合がありますので、費用対効果を考えて司法書士に依頼した方が良い場合もあります。

⑦譲渡所得税

支払いの方法:現金持ち出しまたは、売却代金から支払

費用の目安:所有の状況、所有期間、売却益の金額による

支払先:所轄の税務署

不動産を売却した際に売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合、その売却益に対して譲渡所得税が課税されます。ご自宅の売却であれば、3,000万円の特別控除が使えますので、大抵の場合は課税されることはないケースがほとんどですが、上記の特別控除以上の利益が発生した場合や、特別控除の対象外の場合は課税されますので注意が必要です。

譲渡所得税の節税の方法としては、所有期間を考慮して売却の時期を調整する方法が考えられます。

譲渡所得税は不動産の所有の期間によって、短期譲渡所得(所有期間が5年未満)、長期譲渡所得(所有期間が5年超)に分類されます。それぞれ税率が異なっており、短期譲渡所得は所得税30%、住民税9%、長期譲渡所得は所得税15%、住民税5%となります。

5年未満で売却を検討している場合、状況が許すのであれば、所有期間を最低でも5年以上となったタイミングで売却した方が税金の面では得することとなります。

所有期間が微妙なラインの場合は検討する価値があると思います。

なお、譲渡所得税の詳細に関しては以下の記事を参考にして見て下さい。

まとめ

今回は不動産の売却活動のタイミング別で発生する諸費用の解説をして見ました。

時系列でまとめますと以下のような感じになります。

発生のタイミング諸費用項目
不動産の売却活動を開始する時に発生する費用①確定測量費用
契約時に発生する費用②印紙代
③仲介手数料
契約後に発生する費用④引越し代
⑤抵当権抹消登記費用
⑥住所変更登記費用
⑦譲渡所得税

特殊なケースを除いて、上記の費用が一般的に不動産の売却時にかかる諸費用になります。事前に諸費用の概要を抑えておけば、突発的な費用負担に頭を悩ますことなくあんしんして不動産の売却を進めていけると思います!

節約できる部分は賢く節約しながら、なるべく費用を抑えて不動産の売却ができればいいですね!

以上、RSでした

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